シンガポールの2025年総選挙について

シンガポールについて
多民族国家シンガポールの選挙

シンガポールでは、5月3日を投票日として、総選挙の火ぶたが切られました。

まず知っておきたいところ

シンガポールの国会の基礎知識として1院政(地方議会なし)であり多数政党が首班を指名する制度。
一定の条件のもと公選で選ばれる大統領は元首であるものの、政治的権力はなし。

GRC(Group representation constituency)というグループ選挙区とSMC(Single member constituency)という小選挙区により国会議員が選ばれます。
GRCはグループで選挙を戦い、(人種の指定があり)一定数の人種に国会議員の議席が確保できる形をとる多民族国家シンガポールならではの制度

現状、議員数は与党PAP(People’s Action Party)が圧倒的多数であり、2025年の総選挙は昨年就任した新首相(ローレンスウォン氏)による初の総選挙となります。

今回の特徴は
・前リーシェンロン内閣のメンバーを長年務めた複数の重鎮政治家たちが出馬せず、政界を引退すること。Here are all 20 MPs not running in GE2025 – Mothership.SG – News from Singapore, Asia and around the world
・閣僚の汚職による逮捕劇が与党に影を落としていること。シンガポールのイスワラン運輸相が辞任、1986年以来の閣僚汚職で – Bloomberg
・野党もここ数回の選挙のように追い風は吹いていないこと(特にWPは厳しい?)。WP chief Pritam Singh charged: How the Raeesah Khan lying case unfolded | The Straits Times
などが挙げらるでしょう。

大物政治家の引退  ()内は現内閣でのポジション
Mr.Heng Swee Keat (Deputy Prime Minister)
Mr.Teo Chee Hean (Senior Minister and Coordinating Minister for National Security)
Mr.Ng Eng Hen (Minister for Defence)

今回の選挙では、92議席を32選挙区で争います。
ただし、Marine Parade-Braddell GRC選挙区5議席は、野党立候補なしでPAP候補者に議席確定

2025年総選挙の各政党の候補者数(4月23日立候補締め切り日)

PAP(People's Action Party) 97人
WP(Workers' Party ) 26人
RDU(Red Dot United) 15人
PAR(People's Alliance for Reform) 13人
PSP(Progress Singapore Party) 13人
SDP (Singapore Democratic Party) 11人
NSP(National Solidarity Party) 10人
PPP(People's Power Party) 10人
SPP(Singapore People's Party) 5人
SUP(Singapore United Party) 5人
SDA(Singapore Democratic Alliance)  4人
IND(Independent) 2人

選挙区では政党のマニフェストが配られます

シンガポールの過去の総選結果

与党PAPは赤文字 *NCMP(Non-constituency Member of Parliament)は除く
過去の政党略字は異なる政党の場合あり(例:Singapore Democratic PartyとSingapore Democratic Allianceなど)

2020年7月10日 PAP83議席、WP10議席 *記載は選挙後のこともあり
*野党政治家ニコル・シアーが2011年と所属野党をWPに変更して、一時首相候補にもなった与党政治家ヘン・スイキャットをあわやのところまで追いつめるが惜敗。過去2回(2020年、2011年)もの選挙で旋風を引き起こしたが、選挙後不適切な関係にてWPを去る(シンガポール政界は不適切な関係による国会議員の引退も複数あるように、世間の風は厳しいのでもう総選挙にでてくることはないと思われます)。
*2020年の選挙後、他も最大野党WPに不祥事あり。
*リーシェンヤン(リーシェンロンの実弟 2025年現在は国外滞在、実質上の亡命とも言われています)、(本人は出馬なしも)公然とタン・チェンボック率いる野党PSPを支持。

East Coast(2020年の選挙で野党政治家ニコル・シアーの活躍した結果)
Number of Electors: 121,644
WP 53,375 (46.61%)
・Candidates Party Total Votes
・ABDUL SHARIFF ABOO KASSIM
・FOO SECK GUAN
・DYLAN NG
NICOLE SEAH
・TERENCE TAN LI-CHERN
PAP 61,144 (53.39%)
・CHERYL CHAN WEI LING
HENG SWEE KEAT
・MOHD MALIKI BIN OSMAN
・TAN KIAT HOW
・TAN SOON NEO JESSICA

2015年 9月11日 PAP83議席、WP6議席

2011年 5月7日 PAP81議席、WP6議席
*議席には反映される数字は少ないものの、野党ブームで盛り上り(野党躍進)。
*現役外務大臣ジョージ・ヨー落選(政界引退)。
*選挙後、リークアンユー、ゴーチョクトン両氏内閣から引退。
*野党政治家チャム シートンSMCからGRCへ、そして落選。

2006年 5月6日 PAP82議席、WP1議席、SDA(Singapore Democratic Alliance)1議席

2001年11月3日 PAP82議席、SDA1議席、WP1議席

1997年 1月2日 PAP81議席、WP1議席、SPP(Singapore People's Party)1議席
*民主党でチー スーンジュアンにチャム シートンが追い出される形に(リークアンユー回顧録にも記載あり)。チャム シートン、SPP設立し議席を守る。

1991年 8月31日 PAP77議席、SDP(Singapore Democratic Party)3議席、WP1議席

1988年 9月3日 PAP80議席、WP1議席、SDP(Singapore Democratic Party)1議席
*GRC制度導入
*シンガポール建国第一世代の政治家たちS.ラジャラトナム 、トーチンチャイ、E. W. バーカー引退

1984年 12月22日 PAP77議席、WP1議席、SDP1議席
*81年の補欠選挙にて、J・B・ジャヤラトナム野党政治家として建国後初の国会議員(WP)84年再選。
*野党政治家チャム シートン当選(2011年までSMC-Potong Pasir選出の議員)
*シンガポール建国第一世代の政治家ゴーケンスク引退

1980年 12月23日 PAP75議席

1976年 12月23日 PAP69議席

1972年 9月2日 PAP65議席

1968年 8月13日 PAP58議席
*BS(Barisan Sosialis)総選挙ボイコットにて国会への道を永遠に閉ざす(「リークアンユー回顧録」下巻 日本経済新聞社 105頁)。この選挙以降PAPの盤石な基盤が築かれた。

以下は立法議会(1965年からシンガポール国会)

=1963年9月16日から1965年8月9日の独立までマレーシア連邦の1州=

1963年 9月21日 PAP37議席、BS13議席、UPP(United People's Party)1議席

1959年 5月30日 PAP43、SPA(Singapore People's Alliance)4議席、UMNO(United Malays National Organisation)3議席、独立系候補1議席

1955年 4月2日 LF(Labour Front)10議席、PP(Progressive Party)4議席、PAP3議席、DP(Democratic Party)2議席、UMNO1議席、MCA(Malayan Chinese Association)1議席、 KMS(Malay Union)1議席、独立系候補3議席

シンガポールの総理大臣

Mr.Lawrence Wong 2024年5月14日から
Mr.Lee Hsien Loong 2004年8月12日から
Mr.Goh Chok Tong 1990年11月28日から
Mr.Lee Kuan Yew 1959年6月5日から(Prime Ministerとして)
Mr.Lim Yew Hock 1956年6月8日から(Chief Minister of Singaporeとして)
Mr.David Marshall 1955年4月6日から(同上) WP創設者

*Wkipedia等参考

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